概要
『接着接合式CFRP補強材』は、腐食損傷により断面欠損した鋼構造物の耐力回復を目的とした製品です。
予め工場で成形したCFRP補強材を接着材で接合することで、現地での作業工程が大幅に削減され、かつ母材を傷めることなく補強が可能です。
これまで手を付けられなかった場所でも、軽量で施工が簡単な『接着接合式CFRP補強材』を使用すれば補強が可能になります。

before
↓

after
特長
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製
軽量なため取り回しが容易です。
強靭且つ、腐食の心配もありません。
接着接合式
ボルト接合や溶接が不要なため、母材を傷めることなく補強が可能です。
成形した補強材を接着するだけなので、大幅な工期短縮が可能です。
FRPマンホールで培った接着接合の技術を生かした製品です。
施工性
特殊技能が不要で、人力施工が可能です。
狭小な場所や高所など、施工ヤードやスペースの制約が厳しい現場も補強が可能になります。
説明動画
※音声あり
補強対象
施工イメージ
①設置前

②CFRP本体

③接着剤塗布

④設置後

よくあるご質問(FAQ)
【CFRP補強材】
鋼材と比較して、重量比はどの程度ですか?
約1/5です。
例えば、鋼板9mmの30cm角の板材は約6.4kgですが、同じ強度・サイズのCFRP補強材の板材は約1.4kgとなります。
※重量比に関しては、設計条件や使用材料によって変動しますので、目安としてご参考ください。
標準規格品はありますか?
標準規格品はありません。
現場の腐食状況に合わせて、板厚やサイズを変更して対応しています。
耐久性の目安はありますか?
耐用年数の目安はありません。
CFRPは複合材料の為、腐食することはありません。
対応可能な形状に制約はありますか?
金型を用いた成形法のため、金型を用意すれば幅広い形状で製造可能です。
2面体と3面体が基本となります
CFRP補強材の成形方法について教えてください?
VaRTM成形法と呼ばれる真空成形を用いています。
気泡の混入に強く、安定した品質を確保できる成型方法です。
炭素繊維は導電性の材質ですが、本工法での電蝕の懸念はありますか?
母材(鋼材)との間に樹脂製の接着剤が存在する為、電蝕の懸念はありません。
現場で切断等の加工は可能ですか?
可能です。
超硬刃(ダイヤモンドコーティングされていると良い)の使用を推奨いたします。
製品形状は現場状況に合わせ設定していますので、加工の際は弊社までご確認ください。
切断時に注意することはありますか?
現場にて切断する場合は、以下に注意してください。
CFRP補強材は、繊維方向が連続していることで高い補強効果を発揮します。
写真に示す黒矢印方向が繊維方向です。赤矢印の方向に繊維を切断する場合はご相談ください。
【接着剤】
接着剤に指定品はありますか?
弊社では、ITWパフォーマンスポリマーズ&フルーズジャパン社製『PLEXUS MA530』を接着剤として指定しています。研究段階からこの接着剤を使用して強度確認を行っています。
接着剤の可使時間や硬化時間を教えてください。
可使時間は30分、硬化時間は90分が目安となります。
ただし、現場の気温により変動することがあります。
接着剤の施工条件はありますか?
施工対象が5℃以下の場合は、硬化不良が発生する可能性があるため施工できません。
また、接着面に水分が存在すると、期待する密着強度が得られません。
接着剤がカートリッジに余った場合、保管できますか?
使用期限内の保管は、ノズルを外しキャップを締付し、極端な温度上昇などの無い環境でおこなってください。
【工法概要】
適用箇所について教えてください?
橋梁の鋼製桁端部の腹板、垂直(支点上)補剛材が対象となります。
どのような施工現場で有効となりますか?
架設機材の使用が困難な場合や、作業スペースの確保が困難な狭い現場に有効です。
どのような場合に適用不可となりますか?
1. 過大な断面欠損により、死荷重で降伏や終局強度に至っている場合
2. 24twを超える範囲、支点反力を受ける部位ではない場合
3. 疲労亀裂が生じている場合
4. 既設構造物の影響で、確保すべきCFRP補強材の定着長の確保が出来ない場合
母材のケレン作業について教えてください。
1種ケレンを指定しています。
接着面に錆などが残存している場合、密着不良が懸念されます。
桁の塗装更新に合わせて、本材料での補強を計画する事をお勧めいたします。
CFRP補強材の取付後に塗装は必要ですか?
塗装が必要になります。
接着補強範囲から+20mmの範囲を母材のケレン範囲としています。
補強材取付後、上記ケレン範囲と併せて補強材も塗装してください。
塗装により、紫外線や水分から遮断され、より高い耐久性を期待できます。