FAQ

溶融亜鉛めっきとは

溶融亜鉛めっきは、高温に溶かした亜鉛の槽に製品(鋼材)を浸漬させてめっきを施す手法で、錆びや腐食を防止するために行われる表面処理のひとつです。
別名「どぶ付けめっき」とも呼ばれることもあります。
弊社のスチールグレーチングも、標準仕様として溶融亜鉛めっき処理を施しています。

グレーチングの溶融亜鉛めっき 

溶融亜鉛めっきの標準仕様

床用グレーチングについては、ベアリングバーの厚みが3㎜または4.5㎜ですので、JIS H8641に基づきHDZT63以上(旧規格:HDZ45以上)を標準としています。
上記以上のベアリングバー厚を使用するグレーチングについてはHDZT77以上(旧規格:HDZ55以上)を標準としています。

溶融亜鉛めっきの膜厚算出方法について

溶融亜鉛めっきの膜厚の算出方法を以下に示します。
膜厚=亜鉛付着量/めっき槽の密度(7.2)
従って旧規格:HDZ45、HDZ55、それぞれの場合のめっき膜厚は以下のようになります。

HDZ45の膜厚
亜鉛付着量=450g/m2以上
膜厚=450/7.2 = 62.5μm以上 

HDZ55の膜厚
亜鉛付着量=550g/m2以上
膜厚=450/7.2 = 76.4μm以上 

溶融亜鉛めっきの耐食性・耐用年数

大気中での溶融亜鉛めっき耐食性について

『鋼構造物の溶融亜鉛めっきQ&A』を参考に都市・工業地帯の平均腐食速度より
HDZT63(旧規格:HDZ45 )の耐用年数を試算すると、以下の通りとなります。

HDZT77(旧規格:HDZ55)の場合は以下の通りとなります。

※上記計算は、車両の通行等によるめっきの削れは考慮されておりません。

溶融亜鉛めっきしたグレーチングを水中で使用する場合の耐用年数について

水中でのグレーチング耐用年数(=溶融亜鉛めっき耐用年数)については、水質などに影響されるため明確には算出できませんが、以下の通り推定されます。

HDZT63(旧規格:HDZ45)の場合:4~14年程度

HDZT77 (旧規格:HDZ55)の場合:5~17年程度

【解説】
水中における耐食性は、大気中と同様、溶融亜鉛めっき表面と水との接触で亜鉛表面に生ずる水酸化合物に対する水の影響により支配されます。
この場合、亜鉛の腐食に影響する要因としては以下が考えられます。
・水中ガス状物質
・無機塩類
・pH値
・浸漬時間
・温度
・水流

水中での腐食速度を30~100g/m2年と考え、HDZT63(旧規格:HDZ45)の耐用年数を算出すると、以下のようになります。

グレーチングに波(海水)がかかる場合の溶融亜鉛めっき耐用年数について

グレーチングに波がかかる場合(スプラッシュゾーンでの使用)、以下に示す計算の通り、耐用年数は半年~2年程度であると推定されます。

「鋼構造物の溶融亜鉛めっきQ&A」(亜鉛めっき鋼構造物研究会)
海水中の溶融亜鉛めっき腐食速度は100~200g/m2/年程度であるが。干満帯及び飛沫のかかるスプラッシュゾーンでは、1000g/m2/年程度になる場合もある。

「建築用溶融亜鉛めっき構造物の手引き」(日本鋼構造協会)
海水中での溶融亜鉛めっき腐食速度は約100g/m2/年程度であるが、常に海水に洗われたり、飛沫により感想することのないスプラッシュゾーンは一般的に海水中より2~3倍の腐食速度で腐食が進む。

上記、①,②を考慮すると、スプラッシュゾーンでの溶融亜鉛めっき腐食速度は、200~1000g/m2/年程度と考えられます。
従って、HDZT77(旧規格:HDZ55)の耐用年数は、半年~2年半程度であると推定されます。

溶融亜鉛めっきのトラブルについて

亜鉛めっき表面の白錆

白錆とは、白色または白色に一部淡褐色の班点を伴うかさばった亜鉛酸化合物がめっき表面に形成された状態を言います。

【発生原因】
亜鉛光沢のあるめっき層が、雨や露で濡れて容易に乾燥しないような環境下にさらされている時に発生します。
また、めっき表面に亜鉛を腐食させる物質(強酸性物質,強アルカリ性物質,有機酸,食塩等)が付着すると、白錆が発生します。
海上輸送などで海水がかかっても白錆の原因となります。

【対策】
一般的には以下の方法が考えられます。
1)めっき後、クロム酸に浸漬させる化成処理かアクリル系の水溶性樹脂液に浸漬させて、表面に薄い皮膜を形成させる。
2)めっき後の保管環境を改善する。
・通風の良い屋内で保管する
・屋外保管では、水はけの良い場所に地面との隙間を開けて置く。
・部分的な雨漏りを作らないように工夫する。
・積み重ねなど接触部の多いものは、雨水の荷役を避ける。
・屋外保管の場合、雨天時は完全にシートで覆い、晴天になったら速やかにシートを外す。
・潮解性物質,吸湿性物質の近くには置かない。(海上輸送,岸壁保管等では飛沫がかからないようにする)

【参考】
白錆は亜鉛酸化合物なので、腐食されているように見えますが、その発生環境下から開放されると次第に脱落し、めっき表面には緻密な保護性皮膜を形成するので耐食性にも影響はなく、時間の経過とともに通常部との外観の差もなくなります

その他

溶融亜鉛めっきの着色について

溶融亜鉛めっき成員はその優れた防錆性能のため広く使用されていますが、その色調は亜鉛特有の銀白色の光沢を有しており、用途によっては周囲の環境との色調調和が困難となる場合があります。
溶融亜鉛めっきの着色方法は大きく分けて塗装と科学的着色法の2つがあり、科学的着色法ではリン酸塩法等が実施されています。

 

 

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