I形鋼格子床版(グレーティング床版)

I形鋼格子床版(グレーティング床版)

概要

グレーティング床版は、強度部材と型枠が一体となった、プレファブ型の床版です。
工場製作されたパネルを配置し、簡単な接続と付属品の取付で、コンクリートの打設が可能になります。
また、支保工や型枠が不要となるため、工期の短縮に貢献いたします。

【新設】

足場が不要となるため、跨線橋・跨道橋の送り出し架設に最適です。 また、線形に対応する幅が広いため、ランプ橋にも使用できます。
【新設】

【床版取替】

重機上載による架設が可能なため、架設重機の制約が厳しい橋梁に適します。また、パネルの分割施工も対応可能です。
【床版取替】

特長

床版厚 と 重量 への柔軟な対応

4種類のI形鋼の「高さ」と「ピッチ」の組み合わせにより、床版厚に複数のバリエーションが考えられます。
床版単位重量と路面高さは、現地に合わせた柔軟な対応が可能です。

 

線形 への柔軟な対応

RC床版で可能な線形は、グレーティング床版でも対応が可能です。

簡単施工

専門業者様でなくても施工可能なので、人手不足や入札不調などのリスクが軽減できます。
グレーティング床版は工場製品であり、少量生産(小規模床版取替)にも柔軟に対応いたします。

工期短縮

RC床版と比べて工期短縮することができます。

分割施工

全面通行止めを行わずに施工できるので、交通規制を最小限に抑えることができます。

 

構造

グレーティング床版の構造

RC床版の主鉄筋に相当する部材にI形鋼を使用し、これと直角方向に 配置される配力筋と格子構造を構成しています。 Ⅰ形鋼下面にはコンクリート打設時に型枠の役目をする高耐食性めっき鋼板を取り付け、Ⅰ形鋼のウェブにはコンクリートの廻りを良くする目的からパンチ孔を設けています。
グレーティング床版の構造

主部材

特殊Ⅰ形鋼(I-105,I-130,I-150,I-200)で 鉄筋コンクリート床版の主鉄筋に相当します。
主部材

配力筋
異形鉄筋(D13,D16,D19,D22,D25)より構成します。

底板
厚さ1.6mmの高耐食性めっき鋼板で、コンクリート打設時に型枠の役目を果たします。

ハンチプレート
厚さ1.6mmの高耐食性めっき鋼板で、ハンチ部の型枠となります。

事例

1.デッキプレート床版 から グレーティング床版 への改修事例

橋長20.4m 総幅員4.2m 橋面積85.7㎡ 鋼単純非合成H型橋(TL-14)
 施主) 市町村
 時期) 2016年施工
 施工) 地元建設会社様
 工期) 18日

【概算工程表】 

【施工フロー】

 

 

2.分割施工の事例

 施主) 県
 時期) 2011年施工
 施工) 地元建設会社様

 

3.工期短縮の事例

 施工面積) 7,040㎡
 短縮効果) RC床版と比べ約60%削減

施工写真

床版改修の流れ

既設RC床版を撤去しグレーティング床版で新設
床版改修の流れ

よくあるご質問(FAQ)

どのような条件で採用が多いですか?
跨線橋、跨道橋、改修橋、急速施工を要する橋などに採用されています。
採用の理由として多いのは「安全施工」「軽量化」「工期短縮」の3点です。
特に跨線橋では、架設後に床版上で作業が可能となり、底鋼板が路線上への落下物を防ぐため、施工性の向上と安全施工に寄与することが認められています。

床版改修に使用できますか?
RC床版の床版改修に使用することができます。地元の業者様による施工が可能で工期短縮も期待できるため、跨線橋,跨道橋に次いで多く採用されています。
床版改修は死荷重や路面高に制約を受けることが多く、数種類の床版厚や単位重量から選択可能なI形鋼格子床版は適していると考えらえます。
また線形条件にも柔軟に対応ができるため、一般的なRC床版が対応可能な線形には対応することができます。

施工誤差の吸収は可能ですか?
ハンチ高さや総幅員の調整が約20mmプラス方向に可能です。
施工時には、床版撤去後の桁間隔やキャンバーに、設計値との誤差が生じることがありますが、ハンチ高さと幅員の調整機能を備えているため現場の状況に対応しやすい構造を採用しています。

床版厚はどのように決まりますか?
通常は荷重条件と桁間隔に基づきI形鋼のサイズを選定し、配力鉄筋径に「かぶり」を加えて床版厚とします。
【床版厚=I形鋼高さ+配力鉄筋径+コンクリートかぶり】
ただし、片持ち長が大きい場合は桁間隔ではなく片持ち長によって決定します。
また上記のほかに「合成桁 or 非合成桁」,「単純版 or 連続版」,「支点上補強の有無」の条件を反映させます。

最小床版厚が最も低コストですか?
最も低コストとなる床版厚は「推奨床版厚」として位置付けしており、技術的に実現可能な「最小床版厚」とは異なります。
I形鋼には4種類のサイズ(I-105,130,150,200)があり、選定するI形鋼とピッチにより、同条件の床版でも床版厚と単位重量が異なることが理由として挙げられます。

「最小床版厚」と「推奨床版厚」の使い分けは?
「最小床版厚」は路面高の制約がある場合に採用されますが、製品重量が重く経済的でないため、通常は製品重量が軽く最も経済的な「推奨床版厚」をご提案させていただきます。
また「最小床版厚」「推奨床版厚」については橋梁建設協会発行の『I形鋼格子床版設計・施工の手引き』にグラフと合わせて掲載されています。

幅員方向の分割はどのような場合に行いますか?

①分割施工の場合
片側交互通行による反復施工を行う場合に分割します。
床版は桁上で分割するため、分割位置に桁が無い場合は縦桁(ストリンガー)の設置が必要となります。
一次施工側と二次施工側の床版は、桁上で鉄筋の機械式継手により連結いたします。

②パネル寸法によりトレーラーの荷台に乗らない場合
床版の幅員方向が荷台の長さ方向となります、幅員が大きく荷台に載らない場合は桁上で分割いたします。

③分割により「調整コンクリート」を減らすことができる場合
「調整コンクリート」のみで横断勾配を設けるよりも、床版配置に横断勾配を設け「調整コンクリート」を減らすことが望ましいと判断される場合は桁上で分割いたします。

他の床版との連結は可能ですか?
横桁上での連結が可能です。床版の連結は横桁に打ち降ろし部を設け連結させるため、双方の床版厚が異なる場合でも連結が可能となります。
連結は支点上を避け、引張りと圧縮の中立付近にある横桁で連結させることが一般的です。
RC床版との連結には多数の実績があります。

コンクリート打設前にクレーン車はパネル上の走行が可能ですか?
敷鉄板を敷いて走行することが可能です。
クレーン車を上載しての架設はコンクリート打設前の剛性が高いグレーティング床版の特長の一つとなります。
市街地や河川部など、橋外にクレーン車を据え付けることができない場合や荷下ろしのヤードを確保できない場合に行われています。
製造時の調整が必要となる場合があるため、事前に載荷する重機に基づいた検討を行います。

1日に何パネル架設できますか?
10パネル/日を目安としてください。慣れるに従い20パネル以上架設できることもあります。
端部パネルから架設を開始する場合がほとんどですが、端部は補強鉄筋が配置されているため最も施工し難い箇所となります。
不慣れな初日に端部パネルを架設する場合、特に合成桁で斜角付の場合は多数のスタッドジベルとの干渉を回避しながら架設しますので、少なめに計画しておくことをお勧めいたします。

パネルの架設順に制約はありますか?
制約はありません、どのような順番でもパネルを架設することができます。
隣接するパネルのハンチ部型枠が重なる構造となっていますが、どちらのパネルが上にくる場合でも対応できるようスポンジシールが取り付けられています。
跨線部を先行して架設する場合や、箱桁のマンホール上に架かるパネルを最後に架設するなど、さまざまなパターンがあります。

補修について
1968年の販売開始から約1,500橋を納入しており、架設から50年近く経過した物件も多数存在するため、点検時に底鋼板に発錆が確認されることがあります。
点検の結果、腐食により底鋼板の落下が懸念される場合は切除することをお勧めいたします。
底鋼板は強度部材ではなく型枠として取り付けられていますので、切除後も床版としての強度低下はありません。

底鋼板を撤去する場合、底鋼板はI形鋼に直接取付されているためI形鋼の下部に「コンクリートのかぶり」がありません。
そのため底鋼板撤去後はI形鋼の下面に防錆塗装をお願いいたします。

底鋼板は2002年を境に防錆効果を高めるために「亜鉛鉄板(t=1mm)」から「スーパーダイマ(t=1.6mm)」へ改良されています。
「亜鉛鉄板」「スーパーダイマ」ともに表面処理と板厚は異なりますが、切除に使用する工具は通常の鉄板と同じものが使用可能です。
底鋼板はI形鋼にスポット溶接(φ≒30mm)で取り付けられていますので、この溶接箇所を外すことにより取り外すことができます。


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